葉状腫瘍について

葉状腫瘍の治療等について、主にアメリカで公開されたリポートを紹介しています。togetter → [葉状腫瘍 境界悪性]治療と予後について:主にアメリカの文献から https://togetter.com/li/1338691

近況(9)

造影MRI、太針生検が終わり、今日結果が出ました。

結果は、乳腺症。嚢胞の所見あり、と。

つまりは、良性です。

主治医から「それではまた一年後に」と挨拶をされ、終了しました。

 

今回の腫瘤は1cmほどで、太針生検の3回目だったか4回目に潰れた?ようでした。

ちなみに、葉状腫瘍で手術をした右胸には4mm程度のクリっとした丸いしこりがあります。こちらは一年近く成長していないので、大丈夫だと。

 

いっそのこと両胸インプラントにしてしまおうかとも悩んだりしましたが、それはそれで勇気が要ります。

乳腺の諸々は女性ホルモンも関わることから&叔母が卵巣がんで亡くなっていることから、婦人科でミレーナの相談をしてみようか考え中です。

近況(8)

約1年ぶりの更新となってしまいました。

前回は再発ではなく、と言いますか、総合病院でのエコーではしこりが見つからず、そのまま様子見となったのでした。

その間、3ヶ月ごとの近隣個人病院の定期受診を続け、個人病院の医師からは1年近くエコーで右胸に4mmのしこりは確認できるが大丈夫と言われておりました。。なぜ総合病院でしこりが映らなかったんだろう?

そして、先週、1年に一度の総合病院での検査となりました。

エコー・マンモグラフィーと検査をしましたが、今回はなんと手術をした右胸ではなく、左胸に1cmの腫瘤が。今回は個人病院で指摘されたしこりもしっかり映っていましたが、そちらはクリっとした丸い境界のはっきりしたもの。かたや、左胸のそれは境界不明瞭で、ぼんやりとした丸型です。

4月に個人病院でエコーを受けたばかりだったので驚きました。

 

今回は葉状腫瘍は疑われておりません。

これから良性か悪性か、検査に入ります。

6月は毎週検査に。

もし結果が良性だったとしても、毎回ビクビクすることに疲れてしまったので、両胸インプラントにするか考え中です。

近況(7)再発か

6月末に石灰沈着性腱板炎という病気になり、右肩を痛めました。4・50代の中年女性に多い病気(また!)だそうで、リン酸カルシウムが沈着して、その部分が炎症を起こし、突然夜間に激痛とともに発症する奇妙な病気です。

肩に石…そう、まさにギリギリとした痛みがあり、激痛時は脂汗が浮かび、痛みで眠れず、二度と罹りたくない、この病気!!と思いましたよ。が、これまた再発しやすく、左肩にできることもあると。。知人はなんと股関節にできていました。

処置は、私はステロイド注射と痛み止め→治らず悪化→局部ヒアルロン酸注射(経験したことのない激痛)と追加の強い痛み止め→安静4日でやっと日常生活に戻れました。

完治まで約2週間でした。

 

ところで、ふと「中年女性に多い」という言葉が気になり、先月1年の検診を終えたばかりですが、まさかシコリできていないよね…と、なんとなくチェックをしてみたのです。すると、何やら気になる箇所が。慌てて地元の病院に行くと、エコーで5mm程度のシコリが見つかりました。

先生は、

「たぶん繊維腺腫だろうし、葉状腫瘍だとしても取れば大丈夫。まだ小さいから3ヶ月後に」

というようなことを言っていたように思います。

いやいやいやいや…3ヶ月なんて悠長なことは言っていられません。

即、手術をした県立病院に連絡を入れると、再検査となりました。検査は来週です。

場合によってはまた切除となるのでしょうか。

 

やはり放射線療法をやっておいた方が良かったのでは…と、不安な気持ちで過ごしています。

 

近況(6)<1年検診>

手術から1年が経った。

胸の形は当然変わったけれど、手術痕も目立たなくなり、驚くべきことに左右のサイズがほとんど同じになった。

手術をした右胸がいかに異常だったかがわかる。7・8cm切除して同サイズだもの。

 

1年の検診ではエコーとマンモグラフィーを受けた。※3ヶ月に一度の地元個人病院での検診ではエコーのみ。

再発は無し、両方の腋窩リンパ節に1cm以上の腫脹がある。おそらく反応性で、問題はないが、こちらも経過観察に。

 

【リンパ節腫脹】

リンパ節腫脹は,1つまたは複数のリンパ節が(1cmを超えて)増大して触知できるようになった状態であり,以下のように分類される:
限局性:1つの身体領域のみにみられる場合
全身性:2つ以上の身体領域にみられる場合

(MSDマニュアルより引用)

 

ひとまず問題は無いということで安心した。

 

COVID-19の影響で病院は面会禁止となっていた。昨年のガン末期のおばあちゃんを思い出して、心細く思う患者さんも多いだろうな…と、切ない気持ちに。

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午後最後だったからかわからないけど、以前よりも空いている気がしたり。

 

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私はストレスを溜めやすい性格であるし、パニック障害とは10年以上の付き合いなので、日々穏やかに過ごしたいと葉状腫瘍になってから考えている。

喧嘩が絶えなかった夫とも離婚をすることになり(原因は双方にあったとしても、いざ離婚となると自分が非情な人間であるような気持ちになり、それはそれで鬱々とした気持ちに…)、繊細で発達障害と診断されている息子と二人暮しになったので(自分の仕事や息子のケア含め)穏やかな暮らしとはいかないことも多いけれど、今はできるだけ毎日を楽しく過ごしたいと思う。

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好きなようにお花を飾ったり、友達と息子とごはんを楽しんだり、大好きな曲を聴きながら家事をすることが今は幸せで、そんなささやかな日常を大切にしたいと思う…

 

次の検診は9月の地元病院。

あと2年、こんな風に検査が続く。

 

 

近況(5)

ずいぶん長く更新を怠ってしまった。

手術を受けた総合病院での検査を6月半ばに終えて、以降は3ヶ月に一度地元の個人病院での経過観察、一年後にまた総合病院受診、となった。

9月に初めて地元の病院でエコーを受けたのだけど、腋窩リンパ節に腫れが2箇所見られるとのことで、こちらは12月のエコーで問題があれば再検査というお話だった。先生いわく、手術の反応性ではないか(葉状腫瘍の腋窩リンパ節転移はごく稀であるため)、ということだったけれど、私としては当然ながら何事も問題がない方が嬉しい。そんなわけで、仕事を再開しながらも、12月までまた落ち着かない日々を過ごしている。

また、このような病気になると新たな保険の加入が難しくなる。病気以前にガン保険と女性特約を追加していたので、今回は入院・手術費用は概ねまかなうことができたのだけど、もう一つ加入しておけばもう少しゆっくり療養できたかなぁ…とも思った。

葉状腫瘍に限らずいつ病で倒れるかわからないので、保険は手厚いものに加入しておいて損はない、と改めて。

近況(4)

退院後の診察を終えて、しばらく養生していた実家から久しぶりに自宅へ戻った。

先週末から手術をした右胸が腫れて、ついに左胸よりも大きくなってしまった!診察時に30cc水を抜いてもらったけれど、この腫れはむくみだとのこと。

手術では約8cm切除し、たくさん切り取ったので放射線療法の必要はないと。

私は放射線療法のデメリットがメリットを上回るならばやらなくてもいいんだろうなと考え始めてはいたので、主治医が決められたということは(マージンも十分だし)つまりはそういうことなんだろうと思った。欲を言えば、主治医からもう少し説明をしてもらえたらモヤっとした気分にもならなかったかも…

2週間後にもう一度診察があり、その後は一年に一回の経過観察。葉状腫瘍は進行が早いので、一年に一回も実は不安。(不安がりすぎかなぁ)しかも、経過観察は私の自宅近所の別の医師を紹介すると。

 

葉状腫瘍という症例も少ない奇病ゆえ、私はアメリカに住む友人がたくさん文献をリサーチして励ましてくれたことが本当に支えとなった。そして、たまたま知人がプライベートで元国立がんセンター乳腺外科の先生を紹介してくれたので、葉状腫瘍についてお話する機会もあり、いかにこの病気が稀であるか、また、切除以外ガイドラインが存在しないということも理解できた。そんなわけで、どこかの誰かが私と同じように治療について悩んだ時に少しでも参考になれば(私がアメリカの友人や紹介された医師から励まされたように)…という気持ちがあって、私が知り得た情報や文献をここでシェアしたいなと思った。何より自分の体のことなので、その病態はしっかり把握しておきたくて。

 

今後の経過観察も本当は主治医にお願いしたかったけれど(実際にお願いしている)、先生にはうるさい患者と思われたかも?

私は口下手なので、うまく不安をお伝えできなかったかも、と、別のことで悩んでしまった。

2週間後の診察時までにどうしたいかよく考えてね、と言われたけれど、私は希望をはっきりお伝えしたつもりなので梅雨の空模様と同じようにモヤモヤしっぱなし…

悪性葉状腫瘍:稀な症例報告と文献レビュー

2014年、ギリシャのDr.Spandidosが編集長を務めるSPANDIDOS Publicationsに受理され公開された論文です。主に、癌や腫瘍についてなど、医学専門の出版社だと思います。

*まだ訳している途中ですが、症例までを公開します

*テクニカルな内容となっています

*悪性葉状腫瘍に対する化学療法のまとまった論文が見つけられなかったため、いくつか継続して探してみたいと思います

 

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乳房の悪性葉状腫瘍が臨床診療において認められることは稀である。術前診断は非特異的な放射線学的および組織学的特徴のために困難であり、そして予後因子および最適治療は議論の余地を残したままである。この報告では、手術、術後化学療法、放射線療法などの集学的介入を受けた巨大な悪性葉状腫瘍の中年女性の症例について説明している。今日までに、患者の無病生存期間は18ヶ月に達した。さらに、悪性葉状腫瘍に関する臨床病理学的特徴と治療の進歩をまとめた関連文献レビューが、現在の症例における治療戦略の適応の分析とともに提示されている。将来的には、悪性葉状腫瘍の診断基準と最適な治療コンセンサスを特定するために、多施設共同臨床試験を開始する必要がある。結論として、今回の事例は巨大悪性葉状腫瘍の治療後に集学的管理が無病生存期間に貢献する可能性があることを強調している。


<前書き>
乳房の悪性葉状腫瘍は稀ではあるが、明らかな臨床病理学的エンティティである。 悪性葉状腫瘍は一般的には中年の女性に起こり、年平均調整後の発生率は女性100万人当たり2.1人である。病因に関しては、Li-Fraumeni症候群(生殖系列TP53突然変異)が葉状腫瘍のリスクを高めると報告されている。手術は悪性葉状腫瘍の一般的な初期治療法であり、局所再発リスクが高い患者には放射線療法が推奨される。化学療法は、全身性転移リスクが高い患者を治療するために使用される。その希少性を考えると、治療法の選択肢に関する決定は小規模の後ろ向き臨床試験または症例報告に基づいている。急速に成長する乳房腫瘤が悪性葉状腫瘍の最も典型的な症状であり、術後の病理学が最も正確な診断方法である。手術は悪性葉状腫瘍の主な管理方法と見なされている。手術の種類(乳房温存手術または全乳房切除術)ではなく手術によって達成される明確なマージンが、局所再発率を決定する。 5年無病生存期間は60〜90%である。以前の研究では、14.3%の患者が初期診断から5年後に転移性悪性葉状腫瘍で死亡したことが認められた。今日まで最適な介入方法は確立されていない。ここでは、手術、補助化学療法および放射線療法が行われた巨大悪性葉状腫瘍(術後標本は14.5×10.5×4.5 cmと測定された)のケースを提示する。本症例報告における彼女のデータの公表については書面によるインフォームドコンセントが患者から得られた。さらに、この特異な乳房悪性腫瘍についての理解を深めるために、関連文献をレビューした。


<症例報告>
2014年8月に43歳の女性が9ヶ月間右乳房に痛みのないしこりがあると吉林大学の第一病院に紹介された。彼女は他に不快感はなかった。彼女の過去の病歴は、でんぷんとペニシリンに対するアレルギーを除いて、目立たないものであった。
身体検査では、約11×4.5 cmの大きな固い腫瘤が右胸の上外側四分円に触診された。塊の表面に1.4cmの皮膚潰瘍が存在した。両側鎖骨上帯上および鎖骨下領域と腋窩では、触知可能な拡大リンパ節はなかった。
実験室調査では完全な血球数と血清生化学的プロフィールが正常であることを明らかにした。乳房の超音波(Philips iU22; Philips Medical Systems、Inc.、Bosell、WA、USA)は、血流を伴う右乳房の上部外側四分円内に11.2×4.54cmの不均一低エコー質量を示した。マンモグラフィー(Selenia Dimensionsマンモグラフィーシステム; Hologic Corporation、米国マサチューセッツ州ベッドフォード)はまた、11.0×4.5cmの不規則な塊の高密度を明らかにした。超音波によって明らかにされた不明瞭な境界および不規則な病巣形状の観察のために、BI-RADS段階(8)は4Bであると決定された。ヘマトキシリンおよびエオシン染色は紡錘体新生物細胞を明らかにし、免疫組織化学はKi-67(30%+)およびAE1 / AE3( - )を示したので、その後の生検では間葉系悪性腫瘍を示した。腹部超音波および骨スキャンは、特に問題はなかった。
患者のパフォーマンス状態は、Eastern Cooperative Oncology Groupの基準に基づいて1と評価された。その後、患者は単純乳房切除術とセンチネルリンパ節生検を受けた。生検および術後の標本をホルマリンで固定し、パラフィンに包埋し、スライスしてヘマトキシリンとエオシンで染色した。免疫組織化学は、Ki-67に対する以下のモノクローナルマウス抗ヒト抗体(希釈、1:200、カタログ番号、RMA-0542)を用いて、デキストリン - ポリマー法(EnVision +; Dako、Glostrup、Denmark)を用いて行った。 )、AE1 / AE3(希釈、1:200;カタログ番号、MAB − 0049)、分化クラスター(CD)34(希釈、1:200;カタログ番号、MAB − 0034)、デスミン(希釈、1:1)。 白血球共通抗原(LCA;希釈、1:200;カタログ番号MAB − 0037)、平滑筋アクチン(SMA;希釈、1:200;カタログ番号、MAB − 003) )、エストロゲン受容体(ER;希釈、1:200;カタログ番号、MAB − 0062)、S − 100(希釈、1:200;カタログ番号、RAB − 015)、CD68(希釈、1:200;カタログ)。番号、MAB − 0041)およびサイトケラチン(希釈、1:200;カタログ番号、MAB − 0049)。全ての抗体は、Fuzhou Maixin Biotechnology Development Co.、Ltd.(中国、福州)から購入した。ヤギ抗マウスIgGセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合二次抗体(MaxVision(商標)キット;カタログ番号、KIT − 5010 / 5020 / 5030; Fuzhou Maixin Biotechnology Development Co.、Ltd.)を製造業者のプロトコルに従って試料とインキュベートした。 3,3'-ジアミノベンジジン発色試薬キットもFuzhou Maixin Biotechnology Development Co.、Ltd.から購入し、製造元のプロトコルに従って使用した。術後の病理は、多病巣性壊死を伴う高悪性の葉状腫瘍を明らかにした。原発腫瘍の大きさは14.5×10.5×4.5 cmで、皮膚、乳頭の下の組織、表在筋膜、そして有糸分裂率が高かった。リンパ管浸潤または神経浸潤の証拠はなかった。最終的な免疫組織化学の結果は、30%以上のKi-67指数を示した。サイトケラチン、AE1 / AE3、CD34、デスミン、LCA、SMAおよびER( - )に対する負の反応性。そしてS-100とCD68に対する陽性反応性を拡散。 2つのセンチネルリンパ節は転移に対して陰性であることが証明された。

 

 

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図1。
術後標本の病理学的結果(A)腫瘍は明らかな壊死を示した(H&E染色;倍率、×100)。 (B)新生物細胞は高い有糸分裂速度(高倍率視野あたり2〜5)を示し、非常に攻撃的な行動を示している(H&E染色、倍率、400倍)。 (C)Ki − 67は、新生物細胞の30%の核において陽性であった(免疫染色;倍率、×200)。 H&E、ヘマトキシリン、エオシン。

術後に4サイクルの化学療法を施行した。最初の2サイクルは以下の通りであった:ピラルビシン、80mg(50mg / m 2)、1日目。シクロホスファミド、800mg(500mg / m 2)、1日目。 3回目および4回目のサイクルは、以下のものからなっていた:ピラルビシン、70mg、1日;およびリポソームパクリタキセル、270mg(175mg / m 2)。シクロホスファミド、700mg、1日目。リポソームパクリタキセル、270mg、2日目。その後、予防的胸部照射を60Gy / 30画分の線量で行った。今日までに、患者は良好な生活の質を有し、18ヶ月間無病生存を実証している。