葉状腫瘍について

葉状腫瘍の治療等について、主にアメリカで公開されたリポートを紹介しています。togetter → [葉状腫瘍 境界悪性]治療と予後について:主にアメリカの文献から https://togetter.com/li/1338691

葉状腫瘍の放射線療法

アメリカでの葉状腫瘍の治療に放射線療法が用いられた症例のリポート訳となります。 2005年から2014年の葉状腫瘍患者の92名の院内データの分析です。

アメリカ合衆国国立衛生研究所 の下の国立医学図書館 の一部門NCBI(国立生物工学情報センター)にて、2017.1.1.公開。

 

原文はこちら↓

Radiotherapy in Phyllodes Tumour

 

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葉状腫瘍は乳房腫瘍の1%以下の比較的稀な腫瘍である。

目的:葉状腫瘍の臨床経過を説明し、葉状腫瘍における放射線療法の役割を明確にする。

92/98人が分析に適格。 年齢中央値は43歳。 64/92人が閉経前だった。

60%の患者が良性(B=Benign)、23%が境界型(BL=Borderline)、17%が悪性(M=Malignant)の腫瘍だった。

外科的治療は、良性には腫瘤摘出術が15%、広域局所切除術が48%、単純乳房切除術が37%。

全ての境界型と悪性は広域局所切除術か単純乳房切除術で治療。マージン1センチ以上の場合、境界型・悪性群に再発はなかった。

非転移性の悪性腫瘍は辺縁状態に関わらず、補助治療として放射線療法を受けた。3/16人が局所再発を発症。

6/16人の悪性患者は遠隔転移をしていた(肺または骨)。経過観察期間の中央値は20ヶ月(範囲:1-120ヶ月)

十分なマージン(1センチ以上)での外科的切除は良性と境界型に優れた局所コントロールをもたらした

境界型の患者にとって、適切な外科的切除であっても切断面が近接していたり陽性であれば、局所放射線療法が有効である

悪性に対する補助的放射線療法は局所コントロールの向上傾向にある。 転移のある悪性は予後不良である。

 

(92人中)45%の患者が巨大葉状腫瘍(10cm以上)。最大サイズの腫瘍はこのグループでは25cmだった。55人(60%)が良性。 9名が腫瘤摘出術、26名が広域局所切除術、20名が単純乳房切除術を受けた。このグループの追跡期間中央値は24ヶ月。放射線療法なし。局所再発5/55名。

患者コホート(群)の局所再発の期間は10〜69ヶ月だった。

局所再発の患者は外科的切除がマージン1cm以下だった。彼らは再発時十分なマージンで手術を受けた。

良性の患者は全員、最後の経過観察時に無病生存であった。

21名の患者が境界型。9/21名が広域局所切除術を受け、12/21名が単純乳房切除術を受けた。9/21名の患者はマージンが十分ではなかった。9人の患者のうち7名が補助放射線療法を受けた。マージンが不十分な1名が再手術を受けた(単純乳房切除術)。局所再発は、深部切除縁が0.1cm以外の広域局所切除術の患者1名に8ヶ月後に発生した。この患者は1.5cmのマージンで再手術を受けた。全ての境界型の患者は最後の追跡調査の時点で無病生存であった。

16名の患者が悪性であった。 15/16名が巨大な葉状腫瘍であった。13名が単純乳房切除術を受け、2名か広域局所切除術、そして1名が腫瘤摘出術を受けた。腫瘤摘出術のみを受けた患者は腫瘍サイズが4cmで、64ヶ月の追跡調査において無病生存であった。9名の患者が術後放射線療法を受けた。放射線療法の線量は、胸壁または乳房に対し25分割50Gyだった。6名の患者に転移があり、彼らは化学療法を受けた。肺が最も一般的な転移部位であり、骨がそれに続く。使用された化学療法レジメンは、シスプラチン/ドキソルビシンまたはドキソルビシン単剤のいずれかだった。悪性群の追跡期間の中央値は19ヶ月(範囲:2-186ヶ月)。転移を発症した患者の生存期間中央値は7ヶ月だった。

患者3名が局所再発をした。患者2名は広域局所切除術後に局所再発を呈した。再発時、単純乳房切除術を受け、胸壁に放射線療法を受けた。患者1名は放射線療法の後に局所再発を発症した。彼女は局所再発の切除を受けた。局所再発を発症するまでの期間の中央値は14ヶ月だった(範囲:10〜36ヶ月)

 

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〜まとめ〜

 

×葉状腫瘍は再発しやすい
○適切なマージン(>1cm)ならば再発率は低くなる

 

×非転移の悪性の抗がん剤投与
○非転移の悪性には追加放射線療法

※なぜなら「葉状腫瘍」は局所的で分類としてはガンではなく肉腫となるため、全身に負担のかかる抗がん剤は転移があった場合のみ