葉状腫瘍について

葉状腫瘍の治療等について、主にアメリカで公開されたリポートを紹介しています。togetter → [葉状腫瘍 境界悪性]治療と予後について:主にアメリカの文献から https://togetter.com/li/1338691

乳房の悪性葉状腫瘍に対する放射線療法:SEERデータの分析

2016.12.22.公開。 ※概要部分のみ

原文はこちら↓

https://www.thebreastonline.com/article/S0960-9776(16)30266-1/abstract

———————————

<概要>

乳房の悪性葉状腫瘍は、全乳房腫瘍の1%未満である。手術は悪性葉状腫瘍患者における主な治療法と見なされているが、術後放射線療法の必要性が議論の対象となっている。 我々の目的は、大規模集団データベースを用いて悪性葉状腫瘍に対する術後放射線療法の効果を評価することである。

サーベイランス、疫学、および最終結果プログラム(SEER)データベース(1983年 - 2013年)を使用して、臨床病理学的予後因子を評価した。 術後の放射線療法、腫瘍の範囲、悪性度、およびリンパ節転移が分析に含まれる。単変量および多変量コックス比例ハザードモデルを行って、癌特異的生存率に対する変数の予後力を評価した。

合計1974人の悪性葉状腫瘍患者が評価された。 これらのうち、825人(42%)および1149人(58%)の患者がそれぞれ乳房切除術および乳房温存手術を受けた。 各群において、130人(16%)および122人(11%)の患者が術後放射線療法を受けた。 高悪性度および大きな腫瘍サイズを含む有害な危険因子を有する患者に対しては、術後放射線療法が実施される可能性が高かった。 多変量解析では、年齢、民族、腫瘍の大きさ、腫瘍の拡大およびリンパ節の状態は乳房切除術群の予後と相関していたが、術後放射線療法は癌特異的生存率に影響を及ぼさなかった。 乳房温存手術群では、年齢とグレードが癌特異的生存率の有意な予後因子であり、その一方で術後放射線療法は多変量解析において癌特異的生存率に影響を及ぼさなかった。 より悪い予後因子を有する患者は術後放射線療法を受けたが、放射線療法群は手術(乳房切除術または乳房温存手術)にかかわらず癌特異的生存率の非放射線療法群より劣っていなかった。

まとめ

•悪性葉状腫瘍に対する術後放射線療法の使用が増加した。

•30年間で、データベースの250人の患者が放射線療法を受けた。

放射線治療群は観察群と比較して予後不良因子を持っていた。

放射線治療群の生存期間は観察群より劣ってはいなかった。