293例の葉状腫瘍の臨床病理学的特徴と長期治療成績
2007.6.12.Springer*に公開された専門的なリポートです。局所再発と遠隔転移についての要因について検討されています。
*Springer (Springer Nature)とは2015年にNatureと合併した、主に科学・学術・教育などの出版社となります。
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葉状腫瘍は予測不可能なふるまいをする、稀な乳房の繊維上皮性腫瘍である。
局所再発と転移の予測因子を特定するために、51年以上にわたる本施設の葉状腫瘍の臨床経験の評価をした。
1954年から2005年にかけて、合計352件の葉状腫瘍の症例が確認された。 そのうち、293人が追跡調査を受けた。
すべての利用可能な病理学スライド(90%)は、マージン、境界、周囲の乳房組織における線維増殖、間質パターン、間質細胞性、有糸分裂の頻度、および壊死について再検討された。
すべての症例は、平均年齢42歳、元々良性として分類された203人および悪性として分類された90人の女性で発生した。
追跡期間中央値は7.9年。合計35人の患者が2年の中央値で局所再発を発症した。
単変量解析において、保険数理上の局所再発が高いほど、切除断端陽性(P=0.04)、線維増殖(P = 0.001)、壊死(P = 0.006)が関連していた。 悪性と分類された葉状腫瘍は、局所再発のより高いリスクを有さなかった(P = 0.79)。
5人の患者が中央値1.2年で遠隔転移を発症した。これらの患者は、大きな腫瘍サイズ(7.0 cmまたは以上)、浸潤性の境界、顕著な間質細胞増殖、顕著な間質細胞性、高い有糸分裂数、および壊死を含む一様に侵攻的な病理学的特徴を有する7人の患者の71%を占めた。
切除断端陽性、周囲の乳房組織の線維増殖、および壊死は、局所再発率の著しい増加と関連している。局所再発のリスクを減らすために、外科的断端陰性を達成するための努力がなされるべきである。
葉状腫瘍による死亡はまれであり(2%)、一様に侵攻的な病理学的特徴を示す葉状腫瘍のみが死亡率と関連しているように思われる。
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〜まとめ〜
◾︎局所再発
マージンが十分ではなかったり、腫瘍の性格
(増殖・壊死など)が関連している
◾︎遠隔転移
侵攻性の高い腫瘍(サイズ大きく、分裂・浸
潤性等顕著)に関連している
※再発リスクを減らすには、やはり適切なマージン切除が大切と。
マージンについてはこちらも参考に。
マージンサイズの規則は確立されていないが、腫瘍が
5cm以内→2cmマージン
5cm以上→5cmマージン
推奨と。
何にせよ、病変を外に出してはいけない。